ドラえもん 2010年5月
※昨年のドラえもんを追い掛けること1ヶ月、今回できっちり1年遅れまで到達しました。
5月7日「むかしのママはのび太!?」
似たような話は原作に散見できるも大筋的にはアニメオリジナル30分回。出来は普通。30分回は原作があろうがなかろうが間延びしがちで、今回も「なくし物呼び出しメガホン」で水増しした感は否めない。
水増しエピソードが原作をリスペクトしている感じなのは良いとしても、全体的に尺を埋めるためにエピソードを足している作りなのがいただけない。のび太の物がママに捨てられる→ママの子供の頃を見に行こう→ママの過去話→戻ると捨てた物が部屋に……というシンプルな内容の15分回で良かったと思う。まあ、扇情的になりがちなわさドラにシンプルを望むのは難しいか。
5月14日「ジャイアンに苦手を作れ」
ジャイアンに苦手の毛虫で脅かされたのび太が「苦手つくり機」でジャイアンに復讐する。原作にある話をアレンジ等加えつつそつなく仕上げてある。しずかちゃんらが着る服がドレスと言いながら実際はミニスカ店員コスというのは規制時代へのせめてもの反抗か、それともただの作り手の趣味か。あの場面はミニスカメイド服が記号として適任だと思うけど子供向けではなくなるかな。
5月14日「出木杉にも苦手を作れ」
出木杉への逆恨みでのび太が「苦手つくり機」を使うアニメオリジナル回。同じ道具で2本立ては面白い。出木杉が出来過ぎでのび太の逆恨みが空回りする様は予定調和の域を超えないけど、アニメオリジナルなら十分及第点な出来。
5月21日「しずかちゃんとおじいの木」
しずかちゃん誕生日SP。山の上に古くからある巨木「おじいの木」が枯れて危険だからと伐採することになるが、しずかちゃんは木を守ろうと必死に奔走する。アニメオリジナル30分回。
まず、今回初登場の「おじいの木」が街の人に周知の存在である体で話が進むことに違和感。これが終始座りを悪くしていた。しずかちゃんが個人的に呼称している設定で十分かと(父親との会話内で通用する程度)。子供たちがいつもの空き地ではなく木の周りに集っている図も取って付けた感じで不自然極まりない。
もしくは、例えばしずかちゃんが一人で山の方に向かう姿をのび太やジャイアンらが目撃→後をつけると木の根元で何かをしているしずかを発見→ジャイアンらが「おじいの木じゃん、懐かしい」と口にする──といった扱いにすれば良いかと。そして、ジャイアンが小さい頃を思い出して枝にぶら下がるという展開に。
枝が折れた時、しずかちゃんがただ見ているだけなのも弱い。そこは凄い剣幕でジャイアンを怒ってほしかった。また、木を切りにきた作業員に変なタイミングで「酷いわ」と言うだけで帰るのも意味不明。電動ノコギリを手にした人間=即作業と受け取れてしまうだけに、ここは作業員に電動ノコギリを持たせた演出のミスだと思う。
その後もしずかちゃんは一人で嘆いているだけなので、自ら行動をしないことがじれったくて仕方がない。ドラえもんに助けを求めて押し掛けるぐらいはさせてほしかった。それでお化け作戦へと繋げば、しずかちゃんのノリノリさも唐突にならなかったと思う。あとは妨害作戦をもう1つ2つ重ねて盛り上げてほしかったぐらいで。
中盤からは「命のバトン」というテーマへと比重を傾け、ひみつ道具に頼らずチラシを配る保護活動へと移行。それはいいのだけれど、神成さんの登場の仕方をエキセントリックにする必要性を感じない。普通に通りすがるだけではあかんのか。また、神成さん以降のしずかちゃんらの活動描写が無いので、神成さんに頼る印象になってしまっている点もいただけない。神成さん同様に「パーソナル応援団長」を活用して街の人にチラシを配り続けてほしかった。そうすれば行政へ抗議をしに行く人の数=活動の成果と直結したろうに。
子供が危険だから伐採する、という理由は正当なもの。しずかちゃんがその話をのび太らに知らせに来たところまではいいのだけど、「仕方ない」と口にするのび太とドラを前に涙ぐんで走り去るだけなのがまたじれったい。しずかちゃんはおじいの木の下で追い掛けて来たのび太とドラに自責の念を語るけど、追い掛けてこなかったらどうするんだ、と。そこはのび太の家の前で「枯れたのは私のせいなの」と吐露し、場面転換しておじいの木の下で続きを話す、という流れにすれば、しずかちゃんが事態から逃げずに行動している形を成し続けられたと思う。
終盤の「植物歩かせ液」を使っての夜中の散歩で、かつての子供たちの家を回るところは具体的な描写がしずかちゃんのパパぐらいしかないのがもったいない(のび太のパパも少しあるけど)。今回で言えば神成さん辺りはまず絡めるべきでしょ。先に挙げたチラシ配りといい、積み重ねのなさがドラマの食い足りなさの原因だと思う。
奇跡や感情論に流されない決着の付け方はとても良かった。それだけに「誕生日おめでとう」を言う友達らの急な登場は雑すぎた。今回の話はしずかちゃんメインで進めるためか、他のキャラが極力登場しない構成にしてあるけど、それは彼らを協力せずにいた人間にもしてしまっている。それなのにのほほんと切り株の前に居るのは合点がいかない。山の上で新しい息吹の芽生えを共有するのはのび太とドラだけに留め、家に戻ると皆が誕生会を準備していた流れにすれば、おじいの木関連部分とそれ以外の日常部分を分離して登場人物の立ち位置を破綻させずに済んだと思う。
……長くなってしまいました。考えだすとついついこうなるので書くのが滞るんですよね。気をつけねば。
5月28日「アベコンベ」
先端でつつくと何でもアベコベになる道具が巻き起こすドタバタが単純に楽しい。ドラえもんの壊れっぷりに焦点を絞って盛り上げる展開が上手い。中でも鉛筆削り機の伏線の張り方は見事。原作のアニメ化として文句のない出来でした。
5月28日「のび太の知らないのび太」
こちらも原作を上手くアニメ化。ひみつ道具「立体コピー」で色々な物を複製する楽しさに溢れてました。原作の窓からしずかちゃんのコピーを放り投げるドッキリは趣味が悪いものではあるので変更も納得だったし。
5月7日「むかしのママはのび太!?」
似たような話は原作に散見できるも大筋的にはアニメオリジナル30分回。出来は普通。30分回は原作があろうがなかろうが間延びしがちで、今回も「なくし物呼び出しメガホン」で水増しした感は否めない。
水増しエピソードが原作をリスペクトしている感じなのは良いとしても、全体的に尺を埋めるためにエピソードを足している作りなのがいただけない。のび太の物がママに捨てられる→ママの子供の頃を見に行こう→ママの過去話→戻ると捨てた物が部屋に……というシンプルな内容の15分回で良かったと思う。まあ、扇情的になりがちなわさドラにシンプルを望むのは難しいか。
5月14日「ジャイアンに苦手を作れ」
ジャイアンに苦手の毛虫で脅かされたのび太が「苦手つくり機」でジャイアンに復讐する。原作にある話をアレンジ等加えつつそつなく仕上げてある。しずかちゃんらが着る服がドレスと言いながら実際はミニスカ店員コスというのは規制時代へのせめてもの反抗か、それともただの作り手の趣味か。あの場面はミニスカメイド服が記号として適任だと思うけど子供向けではなくなるかな。
5月14日「出木杉にも苦手を作れ」
出木杉への逆恨みでのび太が「苦手つくり機」を使うアニメオリジナル回。同じ道具で2本立ては面白い。出木杉が出来過ぎでのび太の逆恨みが空回りする様は予定調和の域を超えないけど、アニメオリジナルなら十分及第点な出来。
5月21日「しずかちゃんとおじいの木」
しずかちゃん誕生日SP。山の上に古くからある巨木「おじいの木」が枯れて危険だからと伐採することになるが、しずかちゃんは木を守ろうと必死に奔走する。アニメオリジナル30分回。
まず、今回初登場の「おじいの木」が街の人に周知の存在である体で話が進むことに違和感。これが終始座りを悪くしていた。しずかちゃんが個人的に呼称している設定で十分かと(父親との会話内で通用する程度)。子供たちがいつもの空き地ではなく木の周りに集っている図も取って付けた感じで不自然極まりない。
もしくは、例えばしずかちゃんが一人で山の方に向かう姿をのび太やジャイアンらが目撃→後をつけると木の根元で何かをしているしずかを発見→ジャイアンらが「おじいの木じゃん、懐かしい」と口にする──といった扱いにすれば良いかと。そして、ジャイアンが小さい頃を思い出して枝にぶら下がるという展開に。
枝が折れた時、しずかちゃんがただ見ているだけなのも弱い。そこは凄い剣幕でジャイアンを怒ってほしかった。また、木を切りにきた作業員に変なタイミングで「酷いわ」と言うだけで帰るのも意味不明。電動ノコギリを手にした人間=即作業と受け取れてしまうだけに、ここは作業員に電動ノコギリを持たせた演出のミスだと思う。
その後もしずかちゃんは一人で嘆いているだけなので、自ら行動をしないことがじれったくて仕方がない。ドラえもんに助けを求めて押し掛けるぐらいはさせてほしかった。それでお化け作戦へと繋げば、しずかちゃんのノリノリさも唐突にならなかったと思う。あとは妨害作戦をもう1つ2つ重ねて盛り上げてほしかったぐらいで。
中盤からは「命のバトン」というテーマへと比重を傾け、ひみつ道具に頼らずチラシを配る保護活動へと移行。それはいいのだけれど、神成さんの登場の仕方をエキセントリックにする必要性を感じない。普通に通りすがるだけではあかんのか。また、神成さん以降のしずかちゃんらの活動描写が無いので、神成さんに頼る印象になってしまっている点もいただけない。神成さん同様に「パーソナル応援団長」を活用して街の人にチラシを配り続けてほしかった。そうすれば行政へ抗議をしに行く人の数=活動の成果と直結したろうに。
子供が危険だから伐採する、という理由は正当なもの。しずかちゃんがその話をのび太らに知らせに来たところまではいいのだけど、「仕方ない」と口にするのび太とドラを前に涙ぐんで走り去るだけなのがまたじれったい。しずかちゃんはおじいの木の下で追い掛けて来たのび太とドラに自責の念を語るけど、追い掛けてこなかったらどうするんだ、と。そこはのび太の家の前で「枯れたのは私のせいなの」と吐露し、場面転換しておじいの木の下で続きを話す、という流れにすれば、しずかちゃんが事態から逃げずに行動している形を成し続けられたと思う。
終盤の「植物歩かせ液」を使っての夜中の散歩で、かつての子供たちの家を回るところは具体的な描写がしずかちゃんのパパぐらいしかないのがもったいない(のび太のパパも少しあるけど)。今回で言えば神成さん辺りはまず絡めるべきでしょ。先に挙げたチラシ配りといい、積み重ねのなさがドラマの食い足りなさの原因だと思う。
奇跡や感情論に流されない決着の付け方はとても良かった。それだけに「誕生日おめでとう」を言う友達らの急な登場は雑すぎた。今回の話はしずかちゃんメインで進めるためか、他のキャラが極力登場しない構成にしてあるけど、それは彼らを協力せずにいた人間にもしてしまっている。それなのにのほほんと切り株の前に居るのは合点がいかない。山の上で新しい息吹の芽生えを共有するのはのび太とドラだけに留め、家に戻ると皆が誕生会を準備していた流れにすれば、おじいの木関連部分とそれ以外の日常部分を分離して登場人物の立ち位置を破綻させずに済んだと思う。
……長くなってしまいました。考えだすとついついこうなるので書くのが滞るんですよね。気をつけねば。
5月28日「アベコンベ」
先端でつつくと何でもアベコベになる道具が巻き起こすドタバタが単純に楽しい。ドラえもんの壊れっぷりに焦点を絞って盛り上げる展開が上手い。中でも鉛筆削り機の伏線の張り方は見事。原作のアニメ化として文句のない出来でした。
5月28日「のび太の知らないのび太」
こちらも原作を上手くアニメ化。ひみつ道具「立体コピー」で色々な物を複製する楽しさに溢れてました。原作の窓からしずかちゃんのコピーを放り投げるドッキリは趣味が悪いものではあるので変更も納得だったし。
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