THE MYTH/神話
●THE MYTH/神話
監督/原案/脚本/アクション監督:
秦の始皇帝時代と現代、2つの時代を舞台にしたジャッキー初の大型武侠映画。別に『HERO~英雄~』や『PROMISE』等の後馬に乗ったというわけでもないでしょうが、現代を絡めることでひと味違う作品に仕上がっています。
時代劇オンリーの映画だったらおそらく浮いていたであろうジャッキーを、現代の考古学者というもう1役を演じさせることで自然に見せているのが上手い。企画の勝利です。
ただ、2つの時代の行き来がちょっと大雑把。始皇帝時代に舞台が移る時は現代のジャッキーが意識を失った時限定にするなどして、もう少し2つの時代のリンク具合を綿密に計算していれば傑作になったろうに惜しい。
考古学者という設定の現代のジャッキーなれど、やはり"体力あり"系なので、どうしても《アジアの鷹》(『サンダーアーム』『プロジェクトイーグル』のトレジャーハンター)にしか見えないのがなんとも。
インド古代遺跡内での活劇~逃走場面は同シリーズの冒頭場面の雰囲気まんまだし、マリカ・シェラワットと繰り広げるドタバタ活劇などはいつもの成龍節だし。
思いきってアジアの鷹シリーズ第3弾の側面を用意するのも手だったのでは?(インディジョーンズシリーズに数でも並ぶしね(笑))
作品としてはクライマックスの○○を荒唐無稽に感じてしまうところが難。でもこれは中国の歴史観が体に染み付いてない身には仕方のないことか。
歴史書「史記」によると、始皇帝は広大な陵墓を建設し、さらにその地下には地下都市とも呼べるほどの宮殿を作っていたという。
等身大の武官像100体、天井に埋められた宝石が形作る夜空、水銀の河川。人魚の脂のローソクが永遠に燃え続け真昼のように照らし、侵入者を撃退する罠も完備していた(※以上パンフより)。
ここまで聞くとかなり眉唾物ですけど、現実に陵墓近くで数千体の武官像類が発見されていたりして、こうした伝説は中国人の間ではポピュラーなネタの模様。他にも始皇帝が不老不死の薬を追い求めていたという話もあり、いわば日本における「卑弥呼伝説」のようなものでしょうかね。
本作はそうした伝説を上手に物語に組み込んでおり、それが結実するのがクライマックスの○○ということ。これを理解してから映画に臨みましょう。
つつがなく運ばれる物語の中で、唯一、違和感があったのが最後の○○でのジャッキーの立ち回り。いつものコメディチックさが"場"の緊張感から浮いてしまっていてもったいない。本筋から外れた場所で繰り広げられているし、必要なかったのでは?
スタンリー・トン監督は『ポリス・ストーリー3』『レッド・ブロンクス』のというよりも『ファイナル・プロジェクト』の、と言った方がいいかも。作品規模が大きくなって散漫な印象を与えるところがそう感じさせる要因ですが、前述2作品が傑作だっただけにこの変化は残念。頑張れスタンリー・トン。
観て損はない……と思う。
ジャッキーの武侠アクションは新鮮ですよ。
P.S.
中国映画になってからのジャッキー映画の公開状況は厳しいまま。今回は『香港国際警察』の時より少しはマシながらも上映回数が少なかったり、やはり1日中上映している有楽町まで足を運ぶはめに。しくしく。
監督/原案/脚本/アクション監督:
- スタンリー・トン(『レッド・ブロンクス』)
- ジャッキー・チェン
- キム・ヒソン(『天国からの手紙』)
- チェ・ミンス
- レオン・カーフェイ(『ツインズエフェクトII』)
- マリカ・シェラワット
- スン・チョウ(『始皇帝暗殺』)
- マギー・ラウ(『香港国際警察』)
考古学者ジャックは数カ月前から同じ夢を見ていた。それは秦の始皇帝時代、近衛将軍として妃を警護する自分の姿だった。
そんなある日、反重力を研究する物理学者の友人に反重力に類する言い伝えのあるインドの古代遺跡への同行を求められる。そして忍び込んだ遺跡には謎の隕石と古代の剣と共に、夢で見た女性の肖像画があった……。
秦の始皇帝時代と現代、2つの時代を舞台にしたジャッキー初の大型武侠映画。別に『HERO~英雄~』や『PROMISE』等の後馬に乗ったというわけでもないでしょうが、現代を絡めることでひと味違う作品に仕上がっています。
時代劇オンリーの映画だったらおそらく浮いていたであろうジャッキーを、現代の考古学者というもう1役を演じさせることで自然に見せているのが上手い。企画の勝利です。
ただ、2つの時代の行き来がちょっと大雑把。始皇帝時代に舞台が移る時は現代のジャッキーが意識を失った時限定にするなどして、もう少し2つの時代のリンク具合を綿密に計算していれば傑作になったろうに惜しい。
考古学者という設定の現代のジャッキーなれど、やはり"体力あり"系なので、どうしても《アジアの鷹》(『サンダーアーム』『プロジェクトイーグル』のトレジャーハンター)にしか見えないのがなんとも。
インド古代遺跡内での活劇~逃走場面は同シリーズの冒頭場面の雰囲気まんまだし、マリカ・シェラワットと繰り広げるドタバタ活劇などはいつもの成龍節だし。
思いきってアジアの鷹シリーズ第3弾の側面を用意するのも手だったのでは?(インディジョーンズシリーズに数でも並ぶしね(笑))
作品としてはクライマックスの○○を荒唐無稽に感じてしまうところが難。でもこれは中国の歴史観が体に染み付いてない身には仕方のないことか。
歴史書「史記」によると、始皇帝は広大な陵墓を建設し、さらにその地下には地下都市とも呼べるほどの宮殿を作っていたという。
等身大の武官像100体、天井に埋められた宝石が形作る夜空、水銀の河川。人魚の脂のローソクが永遠に燃え続け真昼のように照らし、侵入者を撃退する罠も完備していた(※以上パンフより)。
ここまで聞くとかなり眉唾物ですけど、現実に陵墓近くで数千体の武官像類が発見されていたりして、こうした伝説は中国人の間ではポピュラーなネタの模様。他にも始皇帝が不老不死の薬を追い求めていたという話もあり、いわば日本における「卑弥呼伝説」のようなものでしょうかね。
本作はそうした伝説を上手に物語に組み込んでおり、それが結実するのがクライマックスの○○ということ。これを理解してから映画に臨みましょう。
つつがなく運ばれる物語の中で、唯一、違和感があったのが最後の○○でのジャッキーの立ち回り。いつものコメディチックさが"場"の緊張感から浮いてしまっていてもったいない。本筋から外れた場所で繰り広げられているし、必要なかったのでは?
スタンリー・トン監督は『ポリス・ストーリー3』『レッド・ブロンクス』のというよりも『ファイナル・プロジェクト』の、と言った方がいいかも。作品規模が大きくなって散漫な印象を与えるところがそう感じさせる要因ですが、前述2作品が傑作だっただけにこの変化は残念。頑張れスタンリー・トン。
観て損はない……と思う。
ジャッキーの武侠アクションは新鮮ですよ。
P.S.
中国映画になってからのジャッキー映画の公開状況は厳しいまま。今回は『香港国際警察』の時より少しはマシながらも上映回数が少なかったり、やはり1日中上映している有楽町まで足を運ぶはめに。しくしく。
★★★★
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