ほしのこえ

●ほしのこえ

監督/製作/原案/脚本:
  • 新海誠(『雲のむこう、約束の場所』)
声の出演:
  • 武藤寿美(オリジナル版:篠原美香)
  • 鈴木千尋(オリジナル版:新海誠)



中学3年の夏、長嶺美加子は国連宇宙軍に選抜された。そんな美加子の心の拠り所は地球に残る同級生・寺尾昇とのメールだった。しかし、進軍と共に地球との距離が広がるとメールの往復に数カ月、数年とかかるようになり……。


2002年に1人で作った短編アニメとして有名な作品でしたが観る機会もなく、先日TV放送されたのでこれ幸いと観てみた次第。

なるほど、よく出来た自主制作アニメ。
全体的な印象はガイナックス作品の影響が強いって感じ。

どこかの自主制作映画の上映会で出会っていたら、この映像クオリティに感動したかもしれないけど、ただ、こうして1作品として観てしまうとやっぱり微妙ですね。



こういうのをセカイ系って言うんでしょうか。
多分に思春期の中高生にウケるんだろうなって印象。
私は苦手です。

美加子が中学の制服のままコクピットに鎮座する姿など私にはどうしても理解不能なんですが、この辺も「わたし」というパーソナリティ表現だけで完結する世界ということなのかな。

宇宙との時差という物語構造が作品配分的にイマイチ活かせていないとか、雰囲気で誤魔化しているとかありますが、まあ、元々アマチュア作品だし、多くを望むのも酷というものでしょう。

本作の価値はアマチュア1人が商業アニメ的なものを作ったということに尽き、それは初めての衝撃であり、今後同じことを他の人がしたとしても同じ評価がされることはないでしょうね。



しかし、本作を観た業界人は自らを恥じるべきだと思う。

これほどまでに日本のリミテッドアニメの「手抜き」を作為的に利用した作品はないでしょう。

なのに本作は概ね好意的に受け止められていて、しかも、その後の日本のTVアニメは益々リミテッド化(CG導入含む)を推し進める現状。やれやれ。



本作は数千円とかでDVDを売っていたようですが、とてもそんな価値はないかと。TVアニメの方法論で作られている通り、TVで観て十分ってところでしょう。

★★

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