キリクと魔女

●キリクと魔女

監督/原作/脚本:
  • ミッシェル・オスロ(『アズールとアスマール』)
翻訳/演出:
  • 高畑勲(『火垂るの墓』)
日本語吹替版:
  • 神木隆之介(『妖怪大戦争』)
  • 浅野温子
  • 山像かおり
  • 三木敏彦
  • 中村影男
  • 青羽剛
  • 金子由之
  • 稲垣昭三



母親のお腹から自らの力で生まれた小さい子供・キリク。キリクの村は魔女カラバによって支配されている。村の男たちは魔女に食われ、宝は巻き上げられ、泉は枯れていた。キリクは小さいが賢く、魔女の手から村を守るために奔走する……。


公開当時、ジブリが海外アニメを国内に紹介するということで注目された作品ですが、ジブリブランドとは異なり、娯楽作品というよりも芸術作品的な雰囲気。

美術は日本アニメにはない美しさもありますが、ただアフリカが舞台で登場人物が褐色の肌ばかりというのはビジュアル的にちょっと馴染みにくいかも。

物語も映画として大きなうねりがあるわけではなく、「魔女に支配される村」という舞台装置の中で繰り広げられる日常を複数並べる作りになっています。

魔女の罠→村人が困る→キリクの知恵で解決

という一連の流れで、その都度村人がキリクを見直すというフォーマットのミニアニメの集合体。NHK辺りの子供番組の1コーナーとしてよくあるものを思い浮かべてもらえればいいかと。



魔女とは社会における何か(社会構造や犯罪行為など)の比喩表現であり、それ(悪常識)をキリクの行動(良識)が打破するわけです。

物語中盤からは、降り掛かる火の粉を払うだけでは根本的な解決にはならないとキリクが事態の根源を探りにいく展開となりますが、それは未来を考えて行動することの大事さの示唆と言えるでしょう。

そして最後には、村人たちの中にもまた魔女と変わらぬ心の闇があるのだと示していたりも。子供向けアニメとしては御都合主義的な解決はしますけど、本当の結論はそこにあるといってもいいでしょう。



大きく構えて観る作品ではありませんが、子供に向けてきちんとメッセージを伝えようとしているところは好感が持てます。

なので、どちらかといえば前述したようなTVのミニコーナーシリーズみたいな形で見せる方が本来の意図には向いているんじゃないでしょうか?

★★★

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