カーズ
●カーズ
監督/脚本:
面白かった。
最後はもちろん予定調和だったけど涙がこぼれちゃったよ。
都会へ向かう途中で田舎町に足止めを食らい、町の人たちとの交流の中で本当に大切なものに気付く──という王道物語(私はマイケル・J・フォックスの『ドク・ハリウッド』を重ねました)。
観る前はキャラクター性が薄そうと思ってましたが、とんでもない。なんと生き生きしていることか。大体ライト部分を目にしがちだけど、フロントウィンドウ全体が目になっていることで表情が豊かです(前例として『ぶぶチャチャ』とかあるけどね)。
デイトナNASCARがモチーフだったり、町のネオン管の看板など、この世界観はアメリカの車文化をベースに持つ人間の方が直接的に思い入れが強いんだろうなと感じました。
ルート66沿いにあるラジエーター・スプリングスは、近くを高速道が通ったことで、地図から消えてしまった町。このさびれ方は日本の田舎でも見かける風景(近頃ならシャッター通りか)。
日本でもそうだけど、ひと昔前の世代の人って道路を造れば町が発展するという幻想を未だに抱いてる気がする。私の故郷なんかもそうだけど、結局素通りされるだけの町になってしまうのが関の山なのに。
"古き良き"とは大人の幻想なれど、時間にゆとりを作るはずの高速化・ハイテク化が逆に心のゆとりを奪っているのは確か。昔は良かったと安易に片付けるのではなく、マックィーンのように、今、我々に必要なものが何かを考えるべきなのかもしれません。
ただし、本作が映画として完璧かというとさにあらず。
マックィーンが町を好きになるターニングポイントがない。
マックィーンとサリーが心通わす過程が足りない。
ドックが自らと向き合う描写が皆無。
予定調和の波に運ばれてラストへただ向かうだけなのは否めません。
でも、それでも私は本作を肯定したい。観ている子供たちは素直にあの町の住人たちを好きになるだろうし、サリーは唯一無二のヒロインとして映っているだろうから。それにドックの心理は子供にはどうしたって理解できるものじゃないでしょう。大人だったら自分の経験値で補えますしね。
観て損なしのファミリームービーです。
声優部分は、山口智充の声はいわゆる芸能人吹き替えの範疇でしかなかったのが残念。予告やタイアップCMなどで声を担当している長島雄一さんの方が良かった。今までも予告時と本編時で、声優→芸能人に変更されることはあったけど、どれも概ね仕上がりは良かったのになぁ。
ちなみに最初の『トイ・ストーリー』ではウッディ&バズの声は山寺宏一&磯部勉で吹き替えが完了していたのに、「主役は有名人で」という理由でキャスト変更されたのは有名な話(それがきっかけとなってやまちゃんは顔出しの仕事を始めたのでした)。
その後の作品ではそんなひどい事は行われてないでしょうが、予告の段階では暫定的に声優さんがあてていることが多いです(『モンスターズインク』予告ではマイクの声は三ツ矢雄二さんだったはずだし)。
結局、芸能人の起用はその話題性でワイドショーなどで取り扱ってもらうためなんでしょうが、今回のような「レベルダウン」を見せられるとちょっと冷めます。もうちょっときちんと考えてほしいですね。
余談ですが、芸能人を多数起用した時の「豪華声優陣」という表現もやめて欲しい。広川太一郎さんとか若山弦蔵さんとか池田昌子さまとかが勢ぞろいした時に使うべきであって、芸能人の場合は単に「豪華俳優陣が吹替を担当」したに過ぎないですってば(そういう意味では本作は十分豪華声優陣です)。
余談その2。ちなみにエンドロールでトレーラーのマックがドライブインシアターで様々なピクサー作品のパロディ映画を観ながら、声優が同じとツッコむ場面は日本語吹替版だとまるで意味がないのが残念でした(※登場キャラ全て、マックを演じたジョン・ラッツェンバーガーが演じていることからのお遊びなので)。
監督/脚本:
- ジョン・ラセター(『トイ・ストーリー』)
- ジョー・ランフト(ラセター監督作全作品ストーリー・アーティスト)
- オーウェン・ウィルソン(『シャンハイ・ナイト』)
- ポール・ニューマン(『ハスラー』)
- ボニー・ハント(『ベートーベン』)
- ラリー・ザ・ケーブルガイ
- マイケル・キートン(『バットマン』)
- 土田大
- 浦山迅
- 戸田恵子
- 山口智充
- 内田直哉
- 樋浦勉
- 片岡富枝
- 麦人
- 池田勝
- 八奈見乗児
- 森ひろ子
- 立木文彦
- 岩崎ひろし
- パンツェッタ・ジローラモ
- 赤坂泰彦
- 福澤朗
新鋭ライトニング・マックィーンは自信過剰の若者。ピットクルーをまるで信頼しやしない。結果、今年のピストンカップ優勝戦ではタイヤをバーストさせてしまい、辛くも3車同着。1週間後にカリフォルニアで優勝決定戦が開かれることになった。その移動中、マックィーンは居眠りしたトレーラーから落ちてしまい、とある町に迷いこむ。「ラジエーター・スプリングス」。そこは地図から消えた町……。
面白かった。
最後はもちろん予定調和だったけど涙がこぼれちゃったよ。
都会へ向かう途中で田舎町に足止めを食らい、町の人たちとの交流の中で本当に大切なものに気付く──という王道物語(私はマイケル・J・フォックスの『ドク・ハリウッド』を重ねました)。
観る前はキャラクター性が薄そうと思ってましたが、とんでもない。なんと生き生きしていることか。大体ライト部分を目にしがちだけど、フロントウィンドウ全体が目になっていることで表情が豊かです(前例として『ぶぶチャチャ』とかあるけどね)。
デイトナNASCARがモチーフだったり、町のネオン管の看板など、この世界観はアメリカの車文化をベースに持つ人間の方が直接的に思い入れが強いんだろうなと感じました。
ルート66沿いにあるラジエーター・スプリングスは、近くを高速道が通ったことで、地図から消えてしまった町。このさびれ方は日本の田舎でも見かける風景(近頃ならシャッター通りか)。
日本でもそうだけど、ひと昔前の世代の人って道路を造れば町が発展するという幻想を未だに抱いてる気がする。私の故郷なんかもそうだけど、結局素通りされるだけの町になってしまうのが関の山なのに。
"古き良き"とは大人の幻想なれど、時間にゆとりを作るはずの高速化・ハイテク化が逆に心のゆとりを奪っているのは確か。昔は良かったと安易に片付けるのではなく、マックィーンのように、今、我々に必要なものが何かを考えるべきなのかもしれません。
ただし、本作が映画として完璧かというとさにあらず。
マックィーンが町を好きになるターニングポイントがない。
マックィーンとサリーが心通わす過程が足りない。
ドックが自らと向き合う描写が皆無。
予定調和の波に運ばれてラストへただ向かうだけなのは否めません。
でも、それでも私は本作を肯定したい。観ている子供たちは素直にあの町の住人たちを好きになるだろうし、サリーは唯一無二のヒロインとして映っているだろうから。それにドックの心理は子供にはどうしたって理解できるものじゃないでしょう。大人だったら自分の経験値で補えますしね。
観て損なしのファミリームービーです。
声優部分は、山口智充の声はいわゆる芸能人吹き替えの範疇でしかなかったのが残念。予告やタイアップCMなどで声を担当している長島雄一さんの方が良かった。今までも予告時と本編時で、声優→芸能人に変更されることはあったけど、どれも概ね仕上がりは良かったのになぁ。
ちなみに最初の『トイ・ストーリー』ではウッディ&バズの声は山寺宏一&磯部勉で吹き替えが完了していたのに、「主役は有名人で」という理由でキャスト変更されたのは有名な話(それがきっかけとなってやまちゃんは顔出しの仕事を始めたのでした)。
その後の作品ではそんなひどい事は行われてないでしょうが、予告の段階では暫定的に声優さんがあてていることが多いです(『モンスターズインク』予告ではマイクの声は三ツ矢雄二さんだったはずだし)。
結局、芸能人の起用はその話題性でワイドショーなどで取り扱ってもらうためなんでしょうが、今回のような「レベルダウン」を見せられるとちょっと冷めます。もうちょっときちんと考えてほしいですね。
余談ですが、芸能人を多数起用した時の「豪華声優陣」という表現もやめて欲しい。広川太一郎さんとか若山弦蔵さんとか池田昌子さまとかが勢ぞろいした時に使うべきであって、芸能人の場合は単に「豪華俳優陣が吹替を担当」したに過ぎないですってば(そういう意味では本作は十分豪華声優陣です)。
余談その2。ちなみにエンドロールでトレーラーのマックがドライブインシアターで様々なピクサー作品のパロディ映画を観ながら、声優が同じとツッコむ場面は日本語吹替版だとまるで意味がないのが残念でした(※登場キャラ全て、マックを演じたジョン・ラッツェンバーガーが演じていることからのお遊びなので)。
★★★★
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