龍が如く 劇場版
●龍が如く 劇場版
監督:
面白い。
映画の方程式は完全に無視してるけど。
原作ゲームの数日間の話を、一夜の、それも舞台を新宿に限定することで見事に成立させてます。まあ、その分、割りを食った人物も多いですが、そこはそれ、メディアの違いという奴です。
しかし、真島おいしすぎ。
岸谷五朗も実に楽しそうに演じてます。
対する桐生を演じる北村一輝は今までにない押さえた役柄で、原作キャラとは別物ながらも良い感じでしたね。
ちなみに北村一輝本人や三池監督も言うように、北村一輝は錦山の方がハマるとは私も思いました。ただ変則的なキャスティングだからこそ立つキャラというものもあるので、今回はそれがうまくいったんじゃないでしょうか。
内容で気になる箇所は色々と。
まず冒頭、神室町を走り回る桐生に主人公としての"見栄"が足りないため、原作ゲームを知らない人にはとっかかりが悪い。全身を見せずに走り回らせ、いざタイトルが出る段には、この人物が主人公だとハッキリ判別させる溜め演出が欲しいところ。
100億の行方に関わる物語のぞんざいさ。風間のおやっさんの存在意義は皆無だし、錦山の物語参入の唐突さや、遥の母の秘密の披露など、いかにも取ってつけた感が強い。本来なら桐生の10年前の回想シーンを用意し、こうした面々を配して伏線を作っておくべきところですが。
……でもねぇ、そんなことはハナから放棄してる節があって、それはそれで強引に成立させられちゃうと、こっちもそれでいいんじゃないかと思わせられてしまいます。三池監督ならではかな。
これは私が原作ゲームをプレイして物語を知っているから、ということではなく、原作ゲームを知らない観客も、別に100億に絡む物語を理解できなくとも構わないという作り方です。
とある街で繰り広げられる様々な登場人物たちの生き様をのみ目に焼付けさえすれば、それで十分だと。
「100億の行方のバックボーンはゲームをプレイしてね」という作りは、メディアミックス作品では禁じ手だと私は常々思っていますが、本作では映画というメディアの"切り取り方"を心得、あえてそれを行うことで、逆に映画をそれ単体で成立させることに成功していると思います。
そりゃ純粋に映画として見ると不十分なのは百も承知。
でもゲームの映画化としてはこれ以上ない魅力溢れる作品に仕上がっているので、機会があれば是非!
監督:
- 三池崇史(『妖怪大戦争』)
- 北村一輝(『ゴジラ FINAL WARS』)
- 岸谷五朗(『リターナー』)
- 塩谷瞬(『忍風戦隊ハリケンジャー』)
- サエコ(『バックダンサーズ』)
- 夏緒
- 加藤晴彦
- 高岡早紀
- 真木蔵人
- 哀川翔
- 松重豊
- コン・ユ
- 名越稔洋
「堂島の龍」と呼ばれた伝説の極道・桐生一馬が10年の刑期を終えて新宿・神室町に戻ってきた。時を同じくするように東城会の金100億が消えた。その夜、新宿は荒れていた。強盗に走るカップル。金の無い銀行に籠城する銀行強盗。謎の韓国人の暗躍。母を探す少女・遥と行動を共にする桐生を元兄貴分の真島が執拗に狙う……。
面白い。
映画の方程式は完全に無視してるけど。
原作ゲームの数日間の話を、一夜の、それも舞台を新宿に限定することで見事に成立させてます。まあ、その分、割りを食った人物も多いですが、そこはそれ、メディアの違いという奴です。
しかし、真島おいしすぎ。
岸谷五朗も実に楽しそうに演じてます。
対する桐生を演じる北村一輝は今までにない押さえた役柄で、原作キャラとは別物ながらも良い感じでしたね。
ちなみに北村一輝本人や三池監督も言うように、北村一輝は錦山の方がハマるとは私も思いました。ただ変則的なキャスティングだからこそ立つキャラというものもあるので、今回はそれがうまくいったんじゃないでしょうか。
内容で気になる箇所は色々と。
まず冒頭、神室町を走り回る桐生に主人公としての"見栄"が足りないため、原作ゲームを知らない人にはとっかかりが悪い。全身を見せずに走り回らせ、いざタイトルが出る段には、この人物が主人公だとハッキリ判別させる溜め演出が欲しいところ。
100億の行方に関わる物語のぞんざいさ。風間のおやっさんの存在意義は皆無だし、錦山の物語参入の唐突さや、遥の母の秘密の披露など、いかにも取ってつけた感が強い。本来なら桐生の10年前の回想シーンを用意し、こうした面々を配して伏線を作っておくべきところですが。
……でもねぇ、そんなことはハナから放棄してる節があって、それはそれで強引に成立させられちゃうと、こっちもそれでいいんじゃないかと思わせられてしまいます。三池監督ならではかな。
これは私が原作ゲームをプレイして物語を知っているから、ということではなく、原作ゲームを知らない観客も、別に100億に絡む物語を理解できなくとも構わないという作り方です。
とある街で繰り広げられる様々な登場人物たちの生き様をのみ目に焼付けさえすれば、それで十分だと。
「100億の行方のバックボーンはゲームをプレイしてね」という作りは、メディアミックス作品では禁じ手だと私は常々思っていますが、本作では映画というメディアの"切り取り方"を心得、あえてそれを行うことで、逆に映画をそれ単体で成立させることに成功していると思います。
そりゃ純粋に映画として見ると不十分なのは百も承知。
でもゲームの映画化としてはこれ以上ない魅力溢れる作品に仕上がっているので、機会があれば是非!
★★★★
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