電車男
●電車男
監督:
……などと今さら説明する必要もないほどにブームになったタイトルですね。実際のネット掲示板「2ちゃんねる」に綴られた真実らしき物語を元にしたフィクション。
当時、私は劇場鑑賞をスルー。
理由はブームを敬遠しがちな自分の性格が第一。
あとは山田孝之らキャスティングへの違和感でした。
だって、山田孝之は元々がそれなりにかっこよくて、オタク装束を脱げばかっこよくなるのは当たり前。「眼鏡を外したら実は美少女」という往年の少女漫画のヒロインです(まあ、それを言ったらほとんどのドラマのモテないヒロイン(を演じる女優)が嘘くさくなりますけど)。
対して、ドラマ版の伊藤淳史くんが「お世辞にもかっこよくはないけれど身だしなみを整えてオタクを脱却する」というタイプで好印象だったので、当時は余計に気になってしまった次第。
で、鑑賞。
山田孝之のオタク姿はやはり無理にコスプレしている感が拭えてはいませんが、演技でカバー。なので脱オタク姿の時の方がオタクらしく見えます。表情もくしゃくしゃにする場面が多く、別段、かっこよくありません。思ってたより全然嫌味がないです。エルメスも顔で電車男を選ばないし。
そんなエルメスもとりわけ美人とか萌えキャラということもなく、1人の等身大な女性。ネット住人たちも等身大な人物で、限られた時間の中で、数もうまく絞り込んでます。
終盤、駅のホームを挟んでネット住人たちと電車男が言葉を交わす見せ方なども実に映画的演出で、字面でのコミュニケーションの奥にある「心のコミュニケーション」をネット門外漢の一般の人にも直感的に理解させます。
私は原作を未読なので人物描写などの比較はできませんが、本作は原作の物語をそのままシンプルなラブストーリーに仕上げたものだと思います。映画という「2時間1本勝負」のメディアならではでしょう。
なのでドラマ版を嫌う人は、原作を無視したような「派手なキャラクター性」「派手なエピソードの羅列」が嫌なのでしょうね。しかし、そこはメディアの特性の差というもの。
ドラマ版は、電車男の物語ではなく、カルチャーとしての「電車男」を、突出したキャラクター造形でバラエティ豊かなコメディ仕立てにした一種の寓話的物語です。1話1時間で起承転結をつけ、それを10数話積み重ねて見せるメディアとしては決して間違いではありません。
同じ原作へのアプローチの違いの妙。好き嫌いは当然ありますが、どちらが正解か、などと決めるものではないでしょう。映画版があったからドラマ版の方向もおのずと定まったのです。
私はドラマ版が好きです。
でもこの映画版のストレートな物語も好きになりました。
結論。
ブームが過ぎた今、先入観なしに観たら意外に面白かった。食わず嫌いを久々に反省。でもまあ、ブームの最中に観てたらやっぱり穿った見方になっちゃってたのかな?
監督:
- 村上正典
- 山田孝之
- 中谷美紀
- 国仲涼子
- 瑛太
- 佐々木蔵之介
- 木村多江
- 岡田義徳
- 三宅弘城
- 坂本真
- 西田尚美
- 大杉漣
電車で酔っ払いに絡まれている女性を助けたオタク青年が、彼女にひと目惚れをしたけれど、恋愛経験ゼロなために、ネット掲示板の住人たちに助けを求め、その応援を背に奮闘する物語。
……などと今さら説明する必要もないほどにブームになったタイトルですね。実際のネット掲示板「2ちゃんねる」に綴られた真実らしき物語を元にしたフィクション。
当時、私は劇場鑑賞をスルー。
理由はブームを敬遠しがちな自分の性格が第一。
あとは山田孝之らキャスティングへの違和感でした。
だって、山田孝之は元々がそれなりにかっこよくて、オタク装束を脱げばかっこよくなるのは当たり前。「眼鏡を外したら実は美少女」という往年の少女漫画のヒロインです(まあ、それを言ったらほとんどのドラマのモテないヒロイン(を演じる女優)が嘘くさくなりますけど)。
対して、ドラマ版の伊藤淳史くんが「お世辞にもかっこよくはないけれど身だしなみを整えてオタクを脱却する」というタイプで好印象だったので、当時は余計に気になってしまった次第。
で、鑑賞。
山田孝之のオタク姿はやはり無理にコスプレしている感が拭えてはいませんが、演技でカバー。なので脱オタク姿の時の方がオタクらしく見えます。表情もくしゃくしゃにする場面が多く、別段、かっこよくありません。思ってたより全然嫌味がないです。エルメスも顔で電車男を選ばないし。
そんなエルメスもとりわけ美人とか萌えキャラということもなく、1人の等身大な女性。ネット住人たちも等身大な人物で、限られた時間の中で、数もうまく絞り込んでます。
終盤、駅のホームを挟んでネット住人たちと電車男が言葉を交わす見せ方なども実に映画的演出で、字面でのコミュニケーションの奥にある「心のコミュニケーション」をネット門外漢の一般の人にも直感的に理解させます。
私は原作を未読なので人物描写などの比較はできませんが、本作は原作の物語をそのままシンプルなラブストーリーに仕上げたものだと思います。映画という「2時間1本勝負」のメディアならではでしょう。
なのでドラマ版を嫌う人は、原作を無視したような「派手なキャラクター性」「派手なエピソードの羅列」が嫌なのでしょうね。しかし、そこはメディアの特性の差というもの。
ドラマ版は、電車男の物語ではなく、カルチャーとしての「電車男」を、突出したキャラクター造形でバラエティ豊かなコメディ仕立てにした一種の寓話的物語です。1話1時間で起承転結をつけ、それを10数話積み重ねて見せるメディアとしては決して間違いではありません。
同じ原作へのアプローチの違いの妙。好き嫌いは当然ありますが、どちらが正解か、などと決めるものではないでしょう。映画版があったからドラマ版の方向もおのずと定まったのです。
私はドラマ版が好きです。
でもこの映画版のストレートな物語も好きになりました。
結論。
ブームが過ぎた今、先入観なしに観たら意外に面白かった。食わず嫌いを久々に反省。でもまあ、ブームの最中に観てたらやっぱり穿った見方になっちゃってたのかな?
★★★★
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