怪奇大作戦セカンドファイル(全3話)
●怪奇大作戦セカンドファイル(全3話)
シリーズ構成/題字:
SRI──特殊科学捜査研究所。彼らは高度化する科学犯罪や原因不明の怪事件に対処すべく設立されたスペシャルチームである。
本作は1968~69年にかけて放送されたTVシリーズ(全26話)のリメイク続編。オープニングには過去シリーズのサブタイトルが記されたファイルがズラッと並んでたりして芸が細かいです。
2004年に一度『怪奇事件特捜チームS・R・I/嗤う火だるま男』というメンバー刷新した新作が作られたそうです(未見)が、今回はオリジナルメンバー設定そのままの続編として作られています。
SRIメンバーのキャスティングはオリジナル版のイメージに無理に合わせることなく、現代的な人物像で選んでいて好印象。
無理に比較すれば、そりゃ岸田森さんの方がとなるけれど、そんなことを感じさせないほど作品世界をきちんと構築しているので、これはこれで有りです。ここまで好感が持てるリメイクも珍しいですね。
冒頭のテーマ曲も同じでワクワクしちゃうし。
個人的にはエンディング曲が「恐怖の町」じゃないのが残念。好きなんですよね、あの歌。まあ、今時の魂のないアレンジバージョンにされちゃうよりかマシですかね。
第1話「ゼウスの銃爪」
演出:清水崇(『呪怨』)
「怪奇」と謳いながらも、あくまでも科学的アプローチで事件の闇を暴いていくのが『怪奇大作戦』。この第1話はそのフォーマットをしっかりと守り、なおかつ事件の背景に現代性を盛り込んでいて完成度が高い。
人体発火ネタはオリジナル版でもありましたが(「恐怖の電話」もしくは「死を呼ぶ電波」か)、今回のツールや犯人像など、現代でリメイクする意義をちゃんと感じられるものになっていました。
まあ、ラストで犯人が殺人行為を理解する部分がいかにもな紋切り型で、見ているこっちがピンとこなかったり、決着のつけ方も事件の大きさに対して甘かったりしますが、放送されたのがNHKじゃ仕方ないかな。
第2話「昭和幻燈小路」
脚本:実相寺昭雄/演出:北浦嗣巳
これは『怪奇大作戦』からは少し外れてしまったかな。パラレルワールドとか、そこまでいってしまうと『ウルトラQ』的。科学的側面があまりにも欠けています。
演出が北浦嗣巳ということで、映像的にも「ウルトラマンの出ない平成ウルトラ」という雰囲気。
脚本の実相寺昭雄本人の手による演出が予定されていたらしいですが、それでもこのネタをどれだけ地に足をつけられたかは疑問ですね。映像的には「京都買います」的な位置づけにはなったかもしれませんが。
第3話「人喰い樹」
演出:中田秀夫(『リング』)
タイトル的には「人喰い蛾」に近いけどまるで別物。
植物関係で「美女と花粉」辺りの展開かと思えばそうでもない。
演出が中田秀夫ということで実にホラー映画的な見せ方で物語が進む。これもまた「怪奇」らしさですけど、しかし、どうにも事件の真相への迫り方がホラーから先に進みません。
最終的な解決策がアレというのもオカルトチックな印象を深める原因でしょうが、そこにもっと牧たちSRIメンバーが科学的アプローチを行っている描写が挿入されていればそうはならなかったかも。
この辺、1話限りのゲスト演出の限界ですかね。
全3話ということで「SF」「ファンタジー」「ホラー」と、各話バラエティ豊かにしたのは計算なんでしょうけど、第2話と第3話はもう一歩『怪奇』らしさに踏み止まって欲しかったかなぁ。
中でも第3話は演出でなんとかなる話だっただけにもったいない。そして第2話が実相寺昭雄作品として仕上がっていたら、ファンもそれはそれで納得したミニシリーズになったんじゃないでしょうか。
とりあえず現代を舞台にした『怪奇大作戦』としては成功していたと思うので、今度は是非、1時間1クールドラマという形で新作を作ってほしいですね。
シリーズ構成/題字:
- 実相寺昭雄(『怪奇大作戦』)
- 北浦嗣巳(『ウルトラマンコスモスVSジャスティス』)
- 西島秀俊
- 田中直樹
- 青山草太
- 岸部一徳
- 寺田農
- 美波
SRI──特殊科学捜査研究所。彼らは高度化する科学犯罪や原因不明の怪事件に対処すべく設立されたスペシャルチームである。
本作は1968~69年にかけて放送されたTVシリーズ(全26話)のリメイク続編。オープニングには過去シリーズのサブタイトルが記されたファイルがズラッと並んでたりして芸が細かいです。
2004年に一度『怪奇事件特捜チームS・R・I/嗤う火だるま男』というメンバー刷新した新作が作られたそうです(未見)が、今回はオリジナルメンバー設定そのままの続編として作られています。
SRIメンバーのキャスティングはオリジナル版のイメージに無理に合わせることなく、現代的な人物像で選んでいて好印象。
無理に比較すれば、そりゃ岸田森さんの方がとなるけれど、そんなことを感じさせないほど作品世界をきちんと構築しているので、これはこれで有りです。ここまで好感が持てるリメイクも珍しいですね。
冒頭のテーマ曲も同じでワクワクしちゃうし。
個人的にはエンディング曲が「恐怖の町」じゃないのが残念。好きなんですよね、あの歌。まあ、今時の魂のないアレンジバージョンにされちゃうよりかマシですかね。
第1話「ゼウスの銃爪」
演出:清水崇(『呪怨』)
「育児放棄をしていた若い母親が路上で人体発火現象で焼け死んだ。SRIが調査を進めるうちに10年前に起こった未成年者によるカップル殺害事件との関係が明らかになるが……」
「怪奇」と謳いながらも、あくまでも科学的アプローチで事件の闇を暴いていくのが『怪奇大作戦』。この第1話はそのフォーマットをしっかりと守り、なおかつ事件の背景に現代性を盛り込んでいて完成度が高い。
人体発火ネタはオリジナル版でもありましたが(「恐怖の電話」もしくは「死を呼ぶ電波」か)、今回のツールや犯人像など、現代でリメイクする意義をちゃんと感じられるものになっていました。
まあ、ラストで犯人が殺人行為を理解する部分がいかにもな紋切り型で、見ているこっちがピンとこなかったり、決着のつけ方も事件の大きさに対して甘かったりしますが、放送されたのがNHKじゃ仕方ないかな。
第2話「昭和幻燈小路」
脚本:実相寺昭雄/演出:北浦嗣巳
「とある一帯で電波障害や電子機器の誤作動が起こっていた。その調査に出ていた牧、三沢、野村は町の住民とともに謎の壁によって町に閉じ込められてしまう。その頃、現実世界では町の人間が消えたと大騒ぎになっていた……」
これは『怪奇大作戦』からは少し外れてしまったかな。パラレルワールドとか、そこまでいってしまうと『ウルトラQ』的。科学的側面があまりにも欠けています。
演出が北浦嗣巳ということで、映像的にも「ウルトラマンの出ない平成ウルトラ」という雰囲気。
脚本の実相寺昭雄本人の手による演出が予定されていたらしいですが、それでもこのネタをどれだけ地に足をつけられたかは疑問ですね。映像的には「京都買います」的な位置づけにはなったかもしれませんが。
第3話「人喰い樹」
演出:中田秀夫(『リング』)
「さおりは友人と山奥の温泉にきていた。しかし、そこで友人はまるで体中の皮膚の下を植物が這っているかのような姿で死亡した。同様の事件が他にも起こっていることからSRIは調査に赴く。そこでは10数年前に森林保護を訴えていた青年が自殺したことが明らかになるが……」
タイトル的には「人喰い蛾」に近いけどまるで別物。
植物関係で「美女と花粉」辺りの展開かと思えばそうでもない。
演出が中田秀夫ということで実にホラー映画的な見せ方で物語が進む。これもまた「怪奇」らしさですけど、しかし、どうにも事件の真相への迫り方がホラーから先に進みません。
最終的な解決策がアレというのもオカルトチックな印象を深める原因でしょうが、そこにもっと牧たちSRIメンバーが科学的アプローチを行っている描写が挿入されていればそうはならなかったかも。
この辺、1話限りのゲスト演出の限界ですかね。
全3話ということで「SF」「ファンタジー」「ホラー」と、各話バラエティ豊かにしたのは計算なんでしょうけど、第2話と第3話はもう一歩『怪奇』らしさに踏み止まって欲しかったかなぁ。
中でも第3話は演出でなんとかなる話だっただけにもったいない。そして第2話が実相寺昭雄作品として仕上がっていたら、ファンもそれはそれで納得したミニシリーズになったんじゃないでしょうか。
とりあえず現代を舞台にした『怪奇大作戦』としては成功していたと思うので、今度は是非、1時間1クールドラマという形で新作を作ってほしいですね。
★★★
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